ツールドひたちなか

初めての経験だった。もっとやれたはずという後悔と、チームとしての組織立った連携に係れたという誇らしさと、ドロドロになって自分のことのように歓喜したこととが

混じり合った不思議な気分だ。

 

本日はツールドひたちなかに参戦。

 

■目標
序盤:前々で展開し有力選手の逃げをつぶす
中盤:序盤からの継続で高速で巡航し、集団の人数を減らす
終盤:鎌田選手と協力して逃げ切りを狙い、吸収された場合はチームメイトに託す

■課題
平坦での巡航力
インターバル耐性

■対策としてやってきたこと
TabataプロトコルおよびKamataプロトコル

レース前1週間は回復に重点を置き前日だけスプリントを数本

■結果
3時間のうち1時間10分で集団からドロップ

■レース内容
JBCFではないが、有力選手も数多く参戦する3時間耐久レース。
地元茨城にチームのPRをするには絶好の機会である。
この日のコンディションは雨で、路面はヘビーウェット&落ち葉という
スリッピーな路面コンディションであった。

今回はクラスタ分けが無く、Unityは総勢7名参戦という大所帯。
先のミーティングで私と山田選手の役目は斥候役と決まった。
序盤に前々で展開して、有名選手が乗る逃げを潰し、ハイペースを維持したまま
集団の人数を減らす。
特にリストアップした要注意選手の背番号と集団の位置は常に頭に入れるよう集中した。

リアルスタートが切られてすぐに、ファーストアタックがかかる。
要注意選手が4名飛び出すという最初から脅威的なアタックがかかり、
山田選手と共にチェックに入る。

その流れのまま1周目は先頭で通過し、それ以降は散発的に単騎でのアタックをしては
吸収されるという展開となった。

スリッピーな路面のため、コーナー入り~立ち上がりのインターバルがキツく感じるが、
オーダー通り先頭でレースをこなす。
コースレイアウト上インターバルがかかりやすい平坦基調のコースで、課題である巡行力と
インターバルを鍛えるには最適ともいえるコースだ。
加えて、今回のレースでは私の成績はあまり問題ではない(極論すればどうでもいい)ということも気楽だった。これはJBCF クラスタE3では味わったことがない気分だ。
役割は集団の人数を減らしチームの主要戦力を温存することで、私自身が勝つことではない。

仮に私がこのコースとこの面子で勝つには、逃げ切る以外方法がない。

かといって、私が逃げ切れる確率はほぼない。これは私に限らず、スタート時の選手が皆平等に与えられる確率だ。

しかし、自己犠牲の精神でチームメイトの勝率を引き上げるための布石として働くことで勝利を呼び込む。逃げ、すなわちロードレースの華。

画面の中でした見たことのなかったレースに、選手として走っている。初めての体験だった。胸が高鳴る。

しかしこんな時に限って、気持ちと裏腹に体が言うことを聞かない。ファーストアタックの時から掛かりが悪く、周回数をこなすたびに消耗していく。
低い外気温の中でアップもろくにせずに最大トルクをかけたからだろうか、心拍が上がらない。
「走っているうちに温まるな」
というレース前の考えは楽観的過ぎたようだ。
先頭では有力選手が前々で展開しており、いつの間にかアタックがかかっても反応できない
位置まで下がってしまっていた。それからもコーナーの度に私の前に中切れ気味のスペースが出来てしまい
余計に踏んでしまうという悪循環に入り、息が苦しくなる。
その後も位置を上げて有力選手のチェックに入ってはズルズル下がるの繰り返しで、
開始1時間10分ほどで集団からドロップした。

周回コースということで、1周待ってトップグループに合流したが、一度千切れた選手が
付いていけるわけもなく再度千切れる。

その後はBB周りからも異音が生じ、ただ周回していても周りの迷惑になるだけなので途中でレースを降りた。

■所感
いつもはアップをしてからレースに臨むが、時間の都合上省いてしまった。
斥候役とは言え、序盤のみしかレースに係れなかったのは率直に悔しい。
課題である平地での巡行とインターバルを得意とする先頭の有力選手と行う中で、
明らかにスタミナが無いと実感できるレースだった。
結果はふがいないが、課題の設定と成すべきことの方向性は間違っていないと確信できるレースでもあった。

レースは神原選手がゴールスプリントを制して優勝し、大津キャップ4位、鎌田選手5位という素晴らしい成績を残してくれた。
チームとして微力ながら係れたことは誇りに思うし、何より勝利が自分のことのようにうれしい。

戦略上の捨て石は勝利のための布石となり、チームメイトには勝者と同等の賛辞が与えられる。敗者がこれほど称えられるロードレースというスポーツは、最高だ。
このチームは最高だ。